海外で販売中止になった「ベビーパウダー」が日本で売られている現実

海外で販売中止になった「ベビーパウダー」が日本で売られている現実

近年、病院で推奨されることは少なくなってきましたが、赤ちゃんのおむつ替えやあせも・かぶれ対策として昔からよく使われる「ベビーパウダー」。

赤ちゃんだけでなく、ファンデーションの代用として、洗顔やニキビケア、制汗剤の代用など使い方はいろいろで、コスパも良く大人にも人気がありますよね。

なかでも、日本でも人気のあるジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のタルクを主成分とするベビーパウダーが、アメリカとカナダで販売中止となっていること、ご存知でしょうか?

日本ではほとんど報道されていませんが、発がん性物質として知られるアスベストの混入により、がんを引き起こしたとし、19,000件以上の訴訟が起きていたり、さらに同社は混入を知っていながら60年間隠蔽していた疑惑もあります。

そんなベビーパウダー。日本では今でも同様の商品がドラッグストアなどで販売されています。赤ちゃんが使うものだから、安全?それは本当でしょうか。

詳しくみていきましょう。

J&Jのベビーパウダーが北米で販売中止に!

ジョンソンエンドジョンソンベビーパウダー

ジョンソン・エンド・ジョンソンでおなじみの(タルクを成分とする)ベビーパウダーが、米国とカナダで販売中止になりました。

出典:Johnson & Johnson to End Talc-Based Baby Powder Sales in North America

販売中止の理由は健康被害による訴訟?

アメリカの大手医薬品会社であるJ&J北米コンシューマ部門のキャサリン・ウィッドマー氏は、販売中止の理由として「主に消費動向の変化と安全性に関する誤った情報により売上が落ち込んだため」と説明しました。

これだけをみると、大企業による穏便な製品撤退という印象を受けますが、実際は全く違います。

J&Jが販売したタルク(滑石)を原料とする「ベビーパウダー」が ” 卵巣がん ” を引き起こしたとして、2018年に損害賠償を求めた裁判で、ミズーリ州控訴裁判所は2020年6月23日、同社に賠償金約2200億円の支払命令が下されました。

J&Jは同商品へのアスベスト混入を否定し続けてますが、実は19,000件を超える訴訟が消費者より起こされています。

参考:Johnson & Johnson to stop selling talc baby powder in U.S. and Canada

今回も今までと同様に「損害賠償の支払いには応じない」と、毎回商品の安全性を主張し、上訴されています。

2018年12月に行った調査によれば、内部文書などを調べた結果、1957年には自社のベビーパウダーに微量のアスベストが含まれていることを幹部が把握していながら、販売を継続していた。

出典:Johnson & Johnson knew for decades that asbestos lurked in its Baby Powder

2019年10月18日、1本のボトルから微量のアスベストが検出され、自主回収を行う。

出典:Johnson & Johnson Baby Powder Recall Over Fears of Chrysotile Asbestos Contamination

日本でのベビーパウダーの販売はどうなる?

  • アメリカ・カナダ以外の国での販売は、継続する方針を表明
  • J&J日本法人は日本国内での同製品販売は続けると発表

アメリカ・カナダでは発がん性があり、危険だと実際に訴訟まで起こされている商品(タルクを主成分とするベビーパウダー)が、日本では今後も販売され続けます。

そして北米では、在庫がなくなり次第販売終了としていますが、訴訟の事実が各メディアにも大きく取り上げられているため、過去3年間で売上が60%減少しました。

参考:Johnson & Johnson to pull its talc-based baby powder from shelves in the US and Canada after sales dropped 60% amid lawsuits over its link to cancer

よって、その在庫は属国である日本へ売りつけられる(輸入される)のも時間の問題と思われます。

ベビーパウダーの主成分のタルクとは?

問題となっているベビーパウダーの主成分、「タルク」とは滑石という鉱物で、硬度が一番やわらかい天然の粘土鉱物で、ケイ酸マグネシウムからなります。

滑石を微粉化したもので、柔らかいのが特徴です。水分を吸収し固まるのを防ぐため、ベビーパウダーやファンデーション、制汗剤などの化粧品に使用されたり、タルクを皮膚に塗ると滑りが良くなり、吸着力が上がるという効果があるため、コンドームの潤滑剤にも使用されています。その他黒板のチョークや医療品、タブレットやチューイングガム、米などの添加材としても使われています。

また、日常的にお薬を飲まれている方はご注意ください。タルクは丸材や錠剤の賦形剤や滑沢剤としても用いられています。

※賦形剤:製剤前の分量を増やすために加えられる添加剤
※滑沢剤:錠剤が型を抜く機械に付かないようにするために加えられる添加剤

タルクは1級発がん物質に指定されているアスベスト(石綿)と非常に似た構造式をしており、性質もとても似ていますが、厳密には異なります。

タルクの安全性は?

国際がん研究機関(IARC)では、繊維状タルクを発がん物質に分類しています。しかし、タルクの物質そのものは、人に対する発がん性については分類できないものとしており、タルクが発がん物質である証拠は不十分としています。

ですが、調べてみると ” 安全性がある ” とは決して言い難いような、研究結果が数多く出てきました。

動物実験でアスベスト様繊維を含まない化粧品グレードのタルクが肺に腫瘍をつくる原因となる可能性がある。

出典:NTP Toxicology and Carcinogenesis Studies of Talc (CAS No. 14807-96-6)(Non-Asbestiform) in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Inhalation Studies)

卵巣がん患者の女性と健康な女性それぞれ215人を比較調査した。すると、タルカムパウダー(タルクを原料に含むベビーパウダー)を使用していた女性は使用していない女性に比べて卵巣がんの罹患リスクが約2倍で、日常的に性器や生理用ナプキンにパウダーを使っている女性は、そのリスクが3倍にものぼった。

出典:Ovarian cancer and talc. A case‐control study

ヒトの観察によると肺疾患、慢性病、特に子供の成長遅延等の種々の疾病はケイ素の欠乏症と関連することが示唆される。

出典:日本医薬品添加剤協会

0.5gの微量のタルクでも(50kgの人間で換算)3週間の摂取で糖尿病を引き起こす。

出典:Evaluation of diphenhydramine in talc induced type 2 diabetes mellitus in Wistar rats

薬を日常的に飲まれる方は、糖尿病を引き起こすとされるタルク量なんてあっという間に到達していまいます。

タルクは卵巣がん、卵管繊維症、不妊の原因となる可能性がある

出典:Possible Morbidity in Women From Talc on Condoms

アスベストの混入に関わらず、タルク自体にも問題がありますね。日本でも、ベビーパウダーをめぐる被害が明らかになり、労災認定も出ています。

36歳の若さで亡くなった夫の中皮腫発症の原因が、東京都足立区の勤務先の時計用宝石加工作業によるものとして、足立労働基準監督署が認定しています。

2012年には元准看護師の女性が、医療用ゴム手袋の再利用のために使っていたタルクにアスベスト(石綿)が混入しており、それを吸い込んだために中皮腫を発症したとして労災認定されています。

2013年には東大阪市の元看護師の女性も同様の仕事をしており労災認定されています。

出典:【ベビーパウダー(タルク)による中皮腫の被害】日本では宝石加工業作業者や元看護師などが中皮腫発症で労災認定

アスベストが原因で発症する病気は?

採取する鉱脈が近いことが多く、採掘時にアスベストが混入してしまう危険性は以前から指摘されていました。

このアスベストの吸入または摂取が原因で

  • 石綿肺(肺線維症:肺が固くなり呼吸不全で死亡)
  • 肺がん
  • 悪性中皮腫

など多くの健康問題を引き起こす可能性があります。

石綿(アスベスト)の繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています(WHO報告)。 石綿による健康被害は、石綿を扱ってから長い年月を経て出てきます。例えば、中皮腫は平均35年前後という長い潜伏期間の後発病することが多いとされています。

出典:アスベスト(石綿)に関するQ&A|厚生労働省

そもそもベビーパウダーは乳児への使用を推奨していない

あせもの予防のため乳児へ使うことが多いであろうベビーパウダーですが、ベビーパウダーには、子どもの手の届かないところに保管するよう表記されていたり、乳児が吸い込むと病気になったり命に関わる危険性があるとして、乳児への使用は推奨されていません。

ジョンソンエンドジョンソンベビーパウダー

パウダーが多すぎると、汗が蒸発できなくなったり、パウダーと汗がだまになったりして皮膚のトラブルの原因にもなる。

手持ちの資料を調べた範囲内では、医師がベビーパウダーを勧めている文はなかった。

(中略)

また、育児雑誌のスキンケア特集では、ベビーパウダーの販売元がスポンサーのことがあるので、あえて触れないようになっているのだろうか。

やはり私もベビーパウダーは勧めない。

出典:関野小児科内科クリニック

あせもを防いだり、おむつかぶれを予防したり。乳児に使用するのはおむつ交換をするとき、主に性器周辺に使いますよね。

性器の粘膜には異物を体内に取り込まないようにするバリア層はないので、赤ちゃんの体内にもろにタルクを取り込んでしまう可能性があります。

性器は経皮吸収率がとても高く、アスベストが膣から卵巣まで上がっていく可能性があったり、アスベストは肺からも吸収されますが、飲み込んだときには小腸からも吸収されます。これが血流に乗って全身に分布すると、どこに炎症やがんが発生してもおかしくありません。

経皮吸収率
出典:夏だからこそ注意!「経皮毒」の吸収率|暮らしニスタ

さいごに

  • 赤ちゃん用だから安全
  • コスパも良く、大人から子どもまで使えて安心
  • 赤ちゃんのために使うものだから肌に優しい

企業やマスコミって、マーケティングが本当に上手いですよね。それって結局擦り込みです。現にわたしたちはその根拠のない「赤ちゃん用=安全」イメージの擦り込みに洗脳されてしまっています。

赤ちゃん用だからこそ、いろいろ調べて学ばなければ、こうやって食いものにされてしまう。安全だというのは企業側がお金を払って作ったエセ情報かもしれない…疑ってはきりがないですが、メディアの情報ばかりを鵜呑みにしては、何が真実か見えてきません。

使うも使わないも、もちろん自由です。日本は大丈夫だろうと気にしない方ももちろんいるでしょう。でも明日は我が身。この事実を知ってください。

ちなみに、先日「ベビーパウダーをマスクにつけると化粧崩れを防げる」とテレビでやっていました。何のためにマスクをつけるのでしょうか。病気になりたいのでしょうか。おかしいと気づいて欲しい。疑問を持ってほしいです。

参考:Google

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2020年7月19日

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