よくドラッグストアで赤ちゃん・子ども用の「日焼け止め」を目にしますが、きちんと成分を見てみると肌の負担になるものがとても多い!
赤ちゃんは大人よりも皮膚が薄く、とてもデリケートです。
肌の刺激になってしまう日焼け止めを使用すると、
- 赤みやかぶれ、湿疹の原因となる
- 洗ってもきちんと取れていない=酸化し、シミの原因となる
- アトピー性皮膚炎の原因となる
赤ちゃん・子どもの肌のため、と使用する日焼け止めは、選び方によっては危険にもなりうるのです。そうならないように、『なんとなく肌に優しそう』とパッケージに騙されず、きちんと裏の成分表を見てくださいね。
日焼け止めの選び方、詳しく見ていきましょう。
もくじ
日焼け止め選びの基本!「SPF」「PA」ってなに?
なんとなくSPFやPAは数値が高いほどいい、というイメージを持っている方も多いかと思いますが、紫外線の防止効果が高くなればなるほど、肌への負担が増える可能性もあります。
必要なシーンに合わせて、適切なものを選ぶようにしましょう。
「SPF」ってなに?どう選ぶの?
主にUV-B(紫外線B波)の防止効果を表す目安の数値です。数字が大きいほど効果が高くなります。この数値の意味ですが、50だと50時間効いて30だと30時間効くという意味ではありません。紫外線が当りだしてから日焼けしてしまう(=紅斑といって赤い斑点が出て炎症を起こしている状態)まで、人によって個人差がありますがだいたい15分~20分と言われています。それをたとえばSPF30なら30倍遅らせることができる…という意味です。
UV-Bとは、肌表面に影響を与え、火傷のような炎症が起き赤くヒリヒリしてしまったり、メラニン色素が沈着して褐色になったり、シミやそばかすの原因となるものです。海や山などレジャー時には特に注意したい紫外線です。
日常使いにはSPF20〜30、海や山などレジャー時にはSPF30〜50がおすすめです。
「PA」ってなに?どう選ぶの?
主にUV-A(紫外線A波)の防止効果を表す目安の数値です。+の多さがUV-Aに対する効果の高さを示します。++++、+++、++、+の4段階があり下記のように設定されています。
紫外線A波で特に気にして欲しいのは、春・夏以外でも「そこそこ降り注いでいる」ということ。
ご覧のとおり紫外線B波は10月~2月にガクっと減るのに比べ、A波は安定して降り注いでいるのです。シワやたるみが気になる方で、室内の窓際にいる方や外に出ることが多い方は冬もしっかりUVケアをしていただきたいです。
一時的な黒化を引き起こし、ツヤやハリ不足の原因となるUV-A。+の数が多いほど防御効果が高くなります。
日常使いにはPA+〜++、海や山などレジャー時にはPA++〜++++がおすすめです。
赤ちゃん・子ども向け「日焼け止め」の選び方
紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)のものを選ぶ
日焼け止めには、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤という2種類の紫外線防御剤が含まれていますが、「ノンケミカル」とは、紫外線散乱剤をUVカット剤として使用した日焼け止めのことをいい、化学反応を起こさず紫外線を跳ね返し、肌への負担が少なく、子どもや敏感肌の方が使用するのに適しています。成分表示では” 酸化チタン ”、” 酸化亜鉛 ”と記載されています。
また、FDA(米食品医薬品局)が市販の日焼け止めに配合される紫外線防御剤が、皮膚から体内に吸収されていることを明らかにした論文が発表されました。調査した16種類の紫外線防御剤のうち、体内に取り込まれないという安全性と紫外線防御効果が確認されたのは ” 酸化チタン ”、” 酸化亜鉛 ” のみです。
ノンケミカルとうたって販売しているものにも、その他の化学成分が配合されている場合があるので、成分表示には十分注意して選ぶことが大切です。
紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)のデメリット
金属アレルギーの方は、ごくまれに ” 酸化亜鉛 ” が金属アレルギーの反応を起こすことがあるので、” 酸化チタン ” をメインに配合したものを選んだ方が安全です。
また、紫外線錯乱剤は白浮きしやすいです。着色顔料を使用することで、ある程度白浮きは抑えられますが、余計なものを取り入れたくない方は ” 酸化チタン ” よりも ” 酸化亜鉛 ” をメインに配合したものを選びましょう。 ” 酸化亜鉛 ” の方が比較的白浮きしにくい性質があります。
DPG、PGの入っていないものを選ぶ
主にジェルタイプの日焼け止めに含まれる成分として、DPG、PGがありますが、これらは保湿剤として使用されますが、眼刺激性が強く、汗が流れ日焼け止めが万が一目に入ると痛くてしみてしまうことがあります。
DPG、PGは、敏感肌の肌荒れの原因成分とも言われています。
クリームや乳液系を選ぶ
ジェルタイプやウォーター、スプレーなど、テクスチャーを水っぽく作っている日焼け止めは、使用しているベース剤が肌に刺激になってしまうものが多いため、おすすめしにくいです。
紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を分散させるには、シリコーンオイル(シクロペンタシロキサンなど)を使うのが特に安定化させやすいですが、これがベースとして配合されるとクリームや乳液タイプの日焼け止めとなります。
シリコーンは人体への刺激や毒性などはほとんどないため、安全に使用できる基剤です。
アルコールフリーのものを選ぶ
ボディ用にも使える日焼け止めに多いですが、「サラッとしたつけ心地」「汗をかいてもベタつかない」この手のキャッチコピーには、たいていの商品にアルコール(エタノール)が配合されています。
赤ちゃんは保湿が大切です。アルコール(エタノール)入りのものは肌への刺激が強く、肌荒れの原因となったり、肌が乾燥してしまうため、アルコールフリーのものを選びましょう。
オーガニック系も油断禁物
オーガニック系の化粧品によく「植物エキス」や「精油」が使われますが、肌への刺激やアレルギーの懸念が増えますし、何種類も配合されているものは大人でも避けた方が賢明でしょう。
日焼け止めには主に防腐剤の代わりに配合されることも多く、防腐効果がかなり強いものもあり肌への負担が大きいです。
また、「植物油脂」や「植物成分」は一見肌にも良さそうに見えますが、その中身はオリーブ油とかナッツ油です。油脂は酸化するオイルのため、特に紫外線を受けると油脂は酸化し、過酸化脂質やアルデヒドなどさまざまな反応生成物を生じて、肌に負担を与えてしまうため、避けましょう。
石鹸乳化の日焼け止めは避ける
石鹸乳化とは化粧品の乳化用の界面活性剤を使用せず、かわりに石鹸で代用する日焼け止めですが、石鹸はアルカリ性の陰イオン界面活性剤のため、塗りおき(洗い流さない)を基本と考える日焼け止めとしては、肌にとても負担を与えます。
また、弱酸性の皮脂と反応して分解し、石鹸カスを生じることがあるので、赤ちゃん用には使用しない方がいいでしょう。
無香料・無着色を選ぶ
香料や着色料に日焼け防止効果はありません。添加物であることがほとんどなので、これらは入っていないものを選びましょう。
お湯や石鹸だけで簡単に落とせるものを選ぶ
肌に塗るということは、同時に洗い流すことも考えなくてはいけません。万が一日焼け止めが残ってしまったり、落とす際にこすってしまうと肌トラブルの原因となります。
お湯や石鹸で簡単に落ちる日焼け止めを選ぶようにしましょう。日焼け止めの成分表示の上の方に油分が記載されている場合、洗浄力の高いアルカリ石鹸やクレンジングオイルが必要です。
また、ウォータープルーフ処方だと基本的にはクレンジングオイルが必要です。洗浄力の高いものほど皮脂を取りすぎてしまい肌への負担もひどく、乾燥や肌荒れの原因となってしまいます。
できれば肌に優しい弱酸性やアミノ酸の石鹸、ベビーソープなどで落とせるものを選びましょう。そして日焼け止めを落とした後は、しっかり保湿してあげることを忘れないでくださいね。
赤ちゃん・子ども向け「日焼け止め」のおすすめ商品4選
上記を踏まえた「日焼け止め」のおすすめを4点ご紹介します。基本的に日常使い用ということで、低刺激でSPF30前後のものをピックアップしました。
DHC Baby&Mama サンガード 日焼け止めクリーム(SPF30 PA++)
出典:DHC公式オンラインショップ
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
- 無香料・無着色
- パラベンフリー
- アルコールフリー
- 鉱物油不使用
- 天然成分配合
- 弱酸性
- 石鹸で落とせる
水、シクロペンタシロキサン、BG、酸化チタン、ジメチコン、エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸、セテアリルアルコール、ポリソルベート80、水酸化Al、ステアリン酸グリセリル、ラウロイルリシン、ベヘニルアルコール、ステアロイルメチルタウリンNa、グリセリン、トリラウレス-4リン酸、ハイドロゲンジメチコン、オリーブ油、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、セリン、バリン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、PCA、PCA-Na、乳酸、乳酸Na、フェノキシエタノール、EDTA-2Na
水、シクロペンタシロキサンベースに紫外線散乱剤が配合されているノンケミカル処方。使用しているUVカット剤は「酸化チタン」のみで、金属アレルギーの方でも安心して使うことができます。
肌を優しくガードしてくれる、天然由来の紫外線防止成分を使用。天然保湿因子(NMF)が配合されていますが、これはわたしたちの肌に元々存在し、肌のうるおいを保ってくれているものです。元々存在しているということは、他の保湿成分よりも刺激が少なく肌馴染みがいいです。また、BGやジメチコン配合で、しっとりした仕上がりです。
成分的にも安全に作られたものの割に低価格で日常使いしやすく、乳化用の非イオン系界面活性剤のポリソルベート80でしっかり乳化しているので、クレンジングも不要で石鹸で落ち、なおかつ目にも染みにくいので赤ちゃんでも使いやすいです。
白浮きは気になるほどではないと思います。価格をみても散乱剤のパウダーは加工処理されたものではないと思うので、毛穴や肌の凸凹のカバーは期待しないでください。化粧下地にはなりにくいです。
ドクターシーラボ ベビーUVクリーム(SPF30 /PA++)
出典:ドクターシーラボ公式オンラインショップ
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
- 無香料
- 無合成着色料
- 無鉱物油
- パラベンフリー
- アルコールフリー
- 石鹸で落とせる
水、シクロメチコン、酸化チタン、ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG-10ジメチコン、ビス(PEG/PPG-14/14)ジメチコン、ペンチレングリコール、水溶性コラーゲン、ヒアルロン酸Na、セラミド2、グリチルリチン酸2K、サクラ葉エキス、アルゲエキス、メリアアザジラクタ葉エキス、グリセリン、BG、コレステロール(羊毛)、トコフェロール、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、アルミナ、ステアリン酸Al、フェニルトリメチコン、塩化Na、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール
水とシクロメチコンという油分が主成分で、よくある日焼け止めです。こちらも使用しているUVカット剤は「酸化チタン」のみなので、金属アレルギーの方でも安心して使うことができます。
乾燥しがちな赤ちゃんや子どもに嬉しい水溶性コラーゲンやヒアルロン酸、セラミドなどの3大保湿成分も入っており、肌の潤いを守りながら紫外線を予防してくれます。(保湿成分は3種類以上入っていると乾燥しにくく、肌の潤いを守る効果が高いと言われています。)
サクラエキス、グリチルリチン酸2Kでデリケートな肌を優しくガードし、アルゲエキスが外的刺激から肌を守ってくれます。
非イオン系の無刺激の界面活性剤でしっかりと安定乳化させているため、落としやすく石鹸で落とせると記載はありますが、お湯でもしっかり流せばきれいに落とせます。ただ、ジメチコンという重めのシリコーンオイルも配合されているので、肌にのっている感はありますから、お湯だけで落とすのはなかなか大変かもしれません。
ベタつきはなくサラサラしますが、価格をみても散乱剤のパウダーは加工処理されたものではないと思いますし、おそらく少し古めの処方のため塗ったところが白浮きします。丁寧にのばしましょう。
POLA ホワイティシモ UVブロックミルキーフルイド(SPF30/PA+++)
出典:POLA公式サイト
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
- 無香料
- 子どもは2歳以上と記載がありますが、成分的には赤ちゃんもOK
- お湯で落とせる
■成分
水、BG、トリエチルヘキサノイン、シクロペンタシロキサン、酸化チタン、グリセリン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ベヘニルアルコール、ポリメタクリル酸グルコシルエチル、ポリメタクリロイルリシン、ボタンエキス、アルニカエキス、ローヤルゼリーエキス、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、キサンタンガム、含水シリカ、ステアロイル乳酸Na、ハイドロゲンジメチコン、ポリアクリル酸Na、クエン酸、エタノール、トコフェロール、水酸化Al、ココグリセリル硫酸Na、メチルパラベン、プロピルパラベン
ノンケミカル処方でもまれに紫外線散乱剤でアレルギー反応や痒み、赤身など引き起こしてしまう方がいますが、こちらは紫外線散乱剤の配合量を従来より40%減量したもの。
「どんな日焼け止めも合わなかった」という、アトピー肌や敏感肌の方に、ぜひ試してほしい日焼け止めです。
また、水溶性の溶剤であるBGが特に多い配合で、水々しい使用感が特徴のため、他の日焼け止めよりつけ心地も軽く、日焼け止めというより乳液っぽいテクスチャーで、紫外線散乱剤が隙間なく均一にのるので少量でもムラになりにくく、白浮きもありません。
皮膜が残らないクリームタイプの日焼け止めなので、ウォータープルーフタイプですが、皮膜力はかなり低くお湯でスルッと落ちます。
酸化しないようにトコフェロール(ビタミンE)も入っています。ボタンエキスやローヤルゼリーエキスが角質層まで浸透し、肌に潤いをあたえます。
オルビス サンスクリーン(R)フリーエンス(SPF30/PA+++)
出典:オルビス公式サイト
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
- 無油分、無香料、無着色
- アルコールフリー
水、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、BG、グリセリン、シクロペンタシロキサン、酸化チタン、PCA-Na、ポリグルタミン酸Na、乳酸Na、ヘチマエキス、トコフェロール、ジメチコン、含水シリカ、ハイドロゲンジメチコン、水酸化Al、ポリアクリル酸Na、ベヘニルアルコール、キサンタンガム、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、ステアロイル乳酸Na、クエン酸、ココグリセリル硫酸Na、メチルパラベン、プロピルパラベン
先述した「POLA ホワイティシモ UVブロックミルキーフルイド」にとても似ている日焼け止めです。
主な違いは、メインの成分構成から軽量皮膜を作るトリエチルヘキサノインを抜き、重めの鎖状シリコーンである、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを配合しているところです。ほぼ全てシリコーンオイルでまかなっていることとなり、ホワイティシモよりも重たい皮膜ができ、きしみが気になる方もいると思います。
そのため落としやすさも下がりますが、水ベースの界面活性剤も入っているので、落ちない皮膜ということはなく、アミノ酸系などの優しい石鹸で落とせる範囲です。
この価格でこの安全設計の低刺激成分。重たさが気にならない方には、コスパもよく全身使いもおすすめです。
さいごに
カタカナばかりでどんな成分が入っているかわかりにくいですし、成分がわからないと選ぶのも難しいとは思いますが、皮膚がんの原因ともなってしまう紫外線から大切な子どもの肌を守ってあげるためにも、これらの選び方を参考にしてくださいね。
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