「制汗剤・デオドラント」が原因で、乳がんになる?

「制汗剤・デオドラント」が原因で乳がんになる?

気になる脇汗。特に夏場は運動をしたあとだけでなく、少し外出しただけでも汗をかき、洋服の汗シミが目立ちやすいですよね。そうなると、制汗剤やデオドラントに頼る方が多いのではないでしょうか。

制汗剤やデオドラントと乳がんの関係性について、医学界での議論が相次いできましたが、制汗剤やデオドラントの成分に含まれるアルミニウムが、乳がんの原因となる可能性があることがわかってきました。

詳しくみていきましょう。

制汗剤とデオドラントって何?違いは?

人間は体温の調整をするために汗をかき、本来汗は無臭ですが、かいた汗を長時間放置することで、においを発します。汗を抑えたり、汗のにおい対策として、脇の下に制汗剤やデオドラントを使用する考えは古くからあります。

制汗剤とデオドラントは別物で、制汗剤は体臭の原因の元となる汗を一時的に減らすもので、デオドラントは雑菌の繁殖を防いで汗のにおいを抑えるものです。

制汗剤は時代とともに志向が変わり、1990年代までは清涼感が求められ、塗布することで涼しさを感じる製品が多く、2000年代に入るとにおい対策として消臭剤や芳香剤、香料入りなどの売り上げが増えました。

近年では、汗を抑えつつにおいも予防する製品が求められており、スプレー、シート、ロールオン、クリームなど形状はとにかく様々です。

制汗剤とデオドラントの成分は?

某通販サイト第1位の制汗スプレー(30ml)

塩化アルミニウム13%配合、精製水、アルギニン、ペンチレングリコール

購入者アンケート満足度98%のデオドラントクリーム(30g)

クロルヒドロキシアルミニウム、精製水、1、3-ブチレングリコール、アーティチョークエキス、アスパラサスリネアリスエキス、イソプロピルメチルフェノール、ウーロン茶エキス、エタノール、オウゴンエキス、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、オトギリソウエキス、グリセリンモノ2-エチルへキシルエーテル、紅茶エキス、シコンエキス、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ダイズエキス、チャエキス、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヒオウギ抽出液、ヒメフウロエキス、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、無水エタノール、d-δ-トコフェロール

いずれにしてもアルミニウム化合物(太字の箇所)が入っていますが、これは汗腺を変性させて発汗を抑える有効成分のひとつです。いわゆるこのアルミニウムが、乳がんのリスクを上げると言われています。

また、デカメチルシクロペンタシロキサン(環状シリコーン化合物)については、分解されにくく、生物の体内に蓄積しやすい。継続して摂取すると人など他生物に毒性がある可能性があるとし、2020年1月31日以降EUで化粧品などに含める濃度制限がなされました。

制汗剤・デオドラントで乳がんのリスクが上がる?

脇のまわりにはたくさんのリンパ腺があります。これらネットワークが乳房の乳腺に近いところに張りめぐらされており、多数の研究者は脇の下に連続して制汗剤を塗り続けることによって、(特に剃毛した脇など擦り傷のある脇は余計にアルミニウム化合物が乳腺に侵入し、そこで悪さをするため乳がんになることを指摘しています。

  • 脇の下にスプレーする制汗剤の開始使用年齢が若いほど、使用回数が頻回であるほど、乳がんの診断が下された
  • 経皮吸収されたアルミニウムがリンパ液や血流に流れ、乳房組織に蓄積することによる

出典:Underarm antiperspirants/deodorants and breast cancer

乳がん患者の集団の中で、脇の下を剃り、より多くの制汗剤製品を使用した人は、そうでない人よりも早い年齢で乳がんと診断された

出典:An earlier age of breast cancer diagnosis related to more frequent use of antiperspirants/deodorants and underarm shaving

制汗剤とデオドラント剤が乳がんに関係しているという論文は、こちらしか見つけることができませんでした。

他の論文では乳がんに結びつける科学的根拠は見つかっていないとされています。しかし、液体に溶けたアルミニウム化合物(化学物質)を乳腺に近い脇の下に塗ることは、非常に危険なことであるというのは誰もがわかることだと思います。

制汗剤・デオドラント使用によるその他の病気の可能性は?

アルツハイマー病

アルツハイマー病も乳がんと同様に、関係があると言われていますが、実際には科学的根拠はなく、そもそもアルツハイマー病の原因の正確なメカニズムすらわかっておりません。

ただ、

塩化アルミニウムは神経毒として確立されている。

出典:塩化アルミニウム|Wikipedia

とあるように、アルツハイマー病の原因となる科学的根拠はありませんが、塩化アルミニウムは神経毒性があるため、その可能性は否めませんし、塩化アルミニウムの人体に対する有害性は否定できません。

以前はアルミニウムの最大許容摂取量は7mg/週となっていましたが、近年では、従来よりも少ない投与量で影響を及ぼすという報告があったため、現在は2mg/週に変更されています。

妊娠中の女性は、骨の損傷と極度の疲労を引き起こす

妊娠中の女性については、アルミニウムを含む発汗抑制剤(制汗剤・デオドラント)を大量に毎日塗ると、骨の損傷と極度の疲労を引き起こすことが報告されています。

メーカーはそのような製品が妊婦にとって安全であると言っていますが、米国FDAの医薬品のリスク分類では、制汗剤の最も一般的な有効成分(アルミニウム)はカテゴリーCに設定されています。

カテゴリーCとは「危険性を否定することができない」

動物⽣殖試験では胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作⽤があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも⼤きい場合にのみ使⽤すること。

引用:妊娠とくすり

制汗剤を使用すると、少量のアルミニウムが皮膚から吸収されることが研究で示されています。

出典:Hyperaluminemia in a woman using an aluminum-containing antiperspirant for 4 years

アルミニウム脳症やアルミニウム骨症

腎臓病を患っている方など腎機能が低下されている方は、アルミニウムなど有害物質がろ過されず蓄積されているケースがあり、何も治療しないとアルミニウム脳症やアルミニウム骨症を引き起こし、血液中に溶けたアルミニウムが脳や骨にいろいろな悪さをしてしまうことがあります。

FDAは「腎疾患がある場合は使用前に医師に相談してください」 とラベル表示する義務をあげています。

出典:Antiperspirant Safety: Should You Sweat It
出典:FDA Warning for Aluminum-containing Antiperspirants

金属アレルギーの発生

近年では銀イオンを含む制汗剤が増えています。

銀は食器や食品添加物にも利用されることがあるため、人体に悪影響はないと言われますが、銀イオンは銀とは違い、強い毒性が指摘され、銀イオンが金属アレルギーを引き起こすことがわかりました。

人工的に作製した銀のナノ粒子(10ナノ~100ナノメートル)と銀イオン(1ナノメートル以下)をそれぞれマウスに注射して調べたところ、ナノ粒子を注射したマウスだけで耳の腫れがひどくなるアレルギー反応が起きた。

出典:金属アレルギー、ナノ粒子で発症か 阪大グループ確認|朝日新聞

制汗剤・デオドラント剤の必要性

汗をかくことでたくさんのメリットがあります。

  • 体温が上がったときに汗をかき、体温調整をしてくれる
  • 汗腺の再吸収機能のおかげで血中のミネラルが失われず、熱中症の予防にもなる
  • 体内の不要な老廃物や毒素を排出してくれる。(身体に取り込む機会が増えた水銀や鉛などの化学物質は、汗と一緒にしか出せません)
  • 余分な水分をためず、むくみが解消され、代謝も良くなる

汗を無理にとめたり、においを減らしたり、香料が含まれる制汗剤でにおいの上塗りをしたり。それって身体にいいことなのでしょうか。

汗も排泄物であり、必要があるから出ているもの。脇は特に経皮吸収率が高いため、リスクを回避するにも有害化学物質を塗るのは避けられた方が良いかもしれません。

経皮吸収率
出典:夏だからこそ注意!「経皮毒」の吸収率|暮らしニスタ

汗を止めるのは、身体にとって百害あって一利なしです。

さいごに

健康でいるためには無理に汗を止めよう、においを抑えようと思わずに、例えば汗をかいたらすぐに湿らせたタオルでぬぐったり、食事を野菜中心に変えてみたり、水分をたくさんとったり、毎日お風呂につかったり、ストレスや疲れを溜めないようにしたり。

「いい汗」をかき、汗と上手に付き合っていい関係を築いていくほうがいいのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です