「うがい薬」はコロナ予防どころか、百害あって一利なし

うがい薬はコロナ予防どころか、百害あって一利なし

大阪府の吉村府知事から、「ポビドンヨード(イソジン)のうがい薬で新型コロナウイルスの量が減る」もしくは「重症化を防ぐ」という趣旨の発表がありましたね。

参考:吉村知事がコロナ対策「イソジンでうがい」を推奨

すでに買い占めが起こり、売り切れも続出しているようですが、ちょっと冷静に考えてください。

「うがい薬」は新型コロナウイルスに効くどころか、百害あって一利もありません。実際、2014年から風邪予防にイソジンは保険診療では処方できなくなっています。それが何を意味するか、わかりますか?

うがい薬を使用しても、風邪予防に効果がないということです。それどころかヨードの過剰摂取により、粘膜障害、甲状腺機能の異常、不妊症などあらゆる健康被害が起こります。

この報道により、子どもを心配するあまり、子どもにまで使わせてしまう大人も増えるでしょう…でも子どもにこそ余計に取り扱いに気をつけなければなりません!

詳しくみていきましょう。

そもそも風邪予防にうがいは有効か?

うがいは、一般的な風邪などを予防する効果があるといわれていますが、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません。

出典:インフルエンザ(季節性)対策|首相官邸

ウイルスがのどや気管の粘膜につくと、数分程度で粘膜の中に入ってしまい、うがいをしてもウイルスを洗い流せる訳ではないのではないので勧められないと言われています。

これは日本だけではなく、CDCやWHOなど世界的にも、うがいは勧められていません。

参考:CDC(アメリカ疾病管理予防センター)
参考:WHO(世界保健機関)

うがい薬とは?

うがい薬は、扁桃炎などのどの炎症や、口内炎、抜歯あとの傷などの口の中の炎症を鎮めたり感染予防、消毒に使われます。

出典:慶應義塾大学病院

■成分:ポビドンヨード
■添加物:エタノール、グリセリン、l-メントール、サッカリンNa、pH調整剤、香料、イソプロパノール、その他1成分(メーカーにより若干異なる)

あらゆるメーカーがうがい薬を出していますが、イソジン®️明治などが有名ですね。

いずれにしてもうがい薬には「ポビドンヨード」という、感染症の原因となるウイルスや細菌、真菌に対して殺ウイルス・殺菌効果がある成分を配合したものです。

ポビドンヨードとは?

主に昆布やワカメなどに含まれているミネラルの一種である「ヨード」と、毒性を下げ水によく溶けやすくする為に「ポリビニルピロリドン」という成分から作られます。

出典:イソジン®について|イソジン®️

発がん性が懸念されているサッカリンNaも入っている

人工甘味料のひとつであるサッカリンは、発がん性リスクの懸念から多くの先進国で使用が激減し、日本でも一時使用禁止になったものの、今は使用を許可され、一部の加工食品や歯磨き粉などに根強く添加されています。

サッカリンNaの化学構造は、ベンゼン(いわゆる亀の甲)に二酸化硫黄と窒素、酸素、ナトリウムを結合させたものです。ベンゼンは人間に対して、白血病を引き起こすことが明確になっている化学物質です。

したがって、それを骨格に持つサッカリンNaも、発がん性の疑いを拭い去ることはできないと考えられます。

出典:Business Journal

安全性が疑わしいですね。

うがい薬は効かないどころか悪影響

損傷・創傷皮膚及び粘膜には使用しないこと。

出典:医療用医薬品 : イソジン 添付文書
出典:イソジンスクラブ液7.5% 添付文書

イソジンの添付文書に記載されているものですが、喉も粘膜でできていますよね…

健康な387名(18〜65歳)を「水うがい」「ポピドンヨードうがい」「うがいなし」にグループわけし、” うがいによる上気道感染症の予防 ”の調査をしたところ、「水うがい」がもっとも風邪の感染率が低く、「ポピドンヨードうがい」と「うがいなし」は感染率にほとんど差がありませんでした。

参考:Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling

つまり、うがい薬でうがいをしても、なにも効果がなかっただけでなく、水でうがいをした人よりも風邪をひきやすかったのです。

ヨード(ヨウ素)といえば、手術前の皮膚消毒に使われるくらい、殺菌効果の高い薬ですが、このヨードを口に入れて使用を継続すると、人の健康に大きな害が生じることがあることがわかっています。

強力な殺菌効果で、常在菌まで殺してしまう

ヨードは殺菌効果が強いため、喉粘膜までも刺激され、喉や口腔内の粘膜がただれてしまいます。それだけでなく、口の中の常在菌(いつも口の中にいる良い菌)までもを殺してしまうのです。

普段口の中にウイルスや菌が入ってしまっても、たいていはこの常在菌が抵抗力を高め、やっつけてくれます。これがヨードで綺麗さっぱり菌を流してしまうと、常在菌も消滅され、体内にウイルスや悪い菌が入ってしまい、先ほどの研究結果になったのです。

要するに、うがい薬を使用することで、人が本来持っている免疫力までも低下させているのです。免疫力をあげることが何よりの風邪予防なのに、それができないどころか逆に免疫を下げてしまい、悪循環もいいところです。

甲状腺機能が低下する

日本は国際的にもまれなヨード過剰摂取国です。

栄養素の一つであるミネラルを摂取するため、こんぶやワカメ、のり、ひじきなどの海藻類を料理に使用することも多いですが、海藻類にもヨードは含まれているため、日常的にヨードは摂取しています。

ただ、海藻類とは比にならない、うがい薬による過剰なヨードの摂取によって、脈拍や体温などに影響する(身体の代謝をつかさどる)甲状腺の機能に悪影響を及ぼしてしまい、ウォルフチャイコフ効果、すなわち甲状腺ホルモン合成が抑制されて、甲状腺機能低下をまねき、橋本病やバセドウ病などの病気につながる可能性があります。

甲状腺機能が正常の人でも、ヨードを1日あたり5~10mg以上摂取していると、甲状腺機能低下症になると言われていますが、うがい薬には、1mlあたり7mgのヨードが含まれ、スプレータイプ(のどぬーるなど)には、1mlあたり5mg含まれています。

のどの粘膜からも、ヨードは100%吸収されます。うがい薬に入っているヨードは、効率よく体内に入り込み、甲状腺障害を起こします

出典:ヨウ素(ヨード)と甲状腺|長崎甲状腺クリニック

うがいの際にすべてを飲み込むわけでは、ありませんが、健常人18人に1日3回、15秒のイソジン咳嗽を行ってもらい、尿中のヨードを測定した報告があります。その結果は平均して1日4mgのヨードが吸収されていました。

出典:習慣的なイソジン咳嗽は止めましょう|かがやきクリニック川口

不妊症の原因となる

甲状腺の状態を見る数値のひとつにTSH(甲状腺刺激ホルモン)があります。このTSHが基準値を上回ると、着床しにくく、流産しやすいと言われています。

TSHの基準値は、0.5〜5μg/mlとされていますが、TSHが2.5μg/mlより高くなると着床しにくく、流産しやすいことがわかってきました。

そのため、米国甲状腺学会ガイドラインでは体外受精をする際にはTSHを2.5以下にするように定められ、日本の不妊クリニックなどでも、同様の対応をされるところが増えてきています。

出典:うがい薬の使いすぎで妊娠力の低下に注意!|堀江薬局オフィシャルサイト

TSHとは、脳から甲状腺に「甲状腺ホルモンを出しなさい」と命令するホルモンのことです。

甲状腺機能が低下すると「甲状腺ホルモンが足りない!もっと甲状腺ホルモンを出しなさい」と命令し、たくさんのホルモンを出し続け、その結果TSHが高くなってきます。

つまり、ヨードを取りすぎると甲状腺機能が低下し、TSHが高くなり、妊娠力が低下してしまいます。

【妊婦は使用厳禁】胎児が甲状腺中毒になる可能性あり

風邪の予防のために、毎日イソジンを使用してうがいをしたり、ヨードスプレーで消毒したりすることは止めてください。ヨードは吸収され、胎盤を通過し、胎児の甲状腺に蓄積されます。長期間連用すると、胎児が甲状腺中毒(甲状腺機能低下症)になることがあります。

出典:「妊娠・授乳と薬」|社団法人 愛知県薬剤師会

ヨウ素が、胎盤をとおして赤ちゃんに移行し、赤ちゃんの甲状腺にたまって、先天性甲状腺腫や甲状腺機能低下症を起こした。

参考:Carswell F et al.: Congenital goitre and hypothyroidism produced by maternal ingestion of iodides. Lancet 1970; 1(7659): 1241-3
参考:Nishiyama S et al: Transient hypothyroidism
or persistent hyperthyrotropinemia in neonates born to mothers with excessive iodine
intake. Thyroid 2004; 14(12): 1077-1083

ヨードの過剰摂取は、妊婦・新生児・乳幼児にはとても危険です。

黒毛舌の原因となる

舌の真ん中が緑のような黒っぽかったり、茶色っぽくフカフカになることを「黒毛舌(こくもうぜつ)」といいます。

カンジダ菌というカビの一種ですが、これは通常常在菌で守られるため、口腔内でそれほど繁殖することはありません。ただ、殺菌力の高いうがい薬を使い続けることで、口腔内のバランスが変化し、舌の上でカンジダ菌が繁殖してしまうこともあります。

うがい薬の素人判断は厳禁

ヨードの殺菌力は強力なため、濃度100%だと万が一目に入ってしまえば失明する恐れがあります。つまり、希釈する濃度や使用頻度を誤れば、粘膜障害を引き起こします。

また、ヨードは体格や精神などの発達に影響するミネラルのため、身体にとってはなくてはならない栄養素です。ただ、子どもは大人に比べ、ヨード摂取の許容量がとても低い。だから余計に注意が必要なのです。万が一飲んでしまうことも考えないといけませんし、長期的に使うのなら(子どもだけでなく大人も)甲状腺検査を定期的に受けなければなりません。

そのくらい取り扱いに気をつけなければならないもので、本来素人判断してはいけないものなのです。

さいごに

マスク、ティッシュ、トイレットペーパー、ハンドソープ、消毒液、体温計、電池、ホットケーキミックス、小麦粉、イースト…そして次は「うがい薬」。

コロナにかかりたくない、そんな思いはもちろんわかりますし、藁にもすがる思いなのもわかります。でもメディアに踊らされず、ほんの少しだけ考えてみてほしいです。

人間には免疫力がうまれながらにして備わっていますから、その力を最大限発揮できるような身体にしてあげればいいだけなのです。余計なものに頼らず、免疫力を下げないよう、体調管理をする。基礎体温をあげる。

なんでもメディアの情報を鵜呑みにしないでほしいです。

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